2025
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  • 特別プロジェクト

「重力と虹色」SIOME 東京藝術大学×香川大学 せとうち ART&SCIENCE

大学美術館

こちらの界隈でも最近あまり見かけないくらいの、最低で最高な夜と、熱中症寸前の強烈な日差し、三半規管を錯乱させる海上での調査と活動。脱水と蒸留の連続の中、溢れる情報に分泌され続ける脳汁と、焼酎漬けのムラサキウニの卵巣のように瓶の中でぐちゅぐちゅに掻き回され痛風寸前の酩酊した灰白質、そんな一時の青色の眩い微睡の時間。臨海2地点での調査同行の中で一つ気がついたことがある。
時空を越えた巨大なターゲットに迫ろうとするチームの熱量に当てられてでもいたのかもしれない。或いはその知性や、大量に入ってくる情報に、俺はただただ浮き足立っていただけなのかもしれない。そもそもアートなんていうものにまつわる原動力である筈のもの、この考えは俺のもんだという、しょうもなくどうしようもなくそして狭量でいじらしい、思いつきについての所有のあり方とか、自己顕示欲を、図らずも共有の気持ちいぃが上回わり、自分というものなんて別になくなってしまってよいのかも〜と、快感についてのポイントをシフトされてしまっていたのであった。
論文という完成された体系についての話をその場で沢山交わしていたにも関わらず、である。
実際、あれはユートピアだったのかもしれない。
調査も終わりに近づいたある日、細胞から気化した酒精やらなにやらで飽和した食堂内でのとあるだべり。「一つの目的に各地のサイエンティストやら海のプロフェッショナルやら、そしてアーティストなんかが集まったいきさつでのコミュニケーションや会合の姿はそれ自体テーマになりうるんじゃないの?」という声(1)。これは確かにブラフなのだが、時間が経った今、頭に残っている感覚は困ったことにそれだけなのだった。

分化を逆行する倒立した樹形図、
重力と虹色の夢

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(1) 一つの目的に各地のサイエンティストやら海のプロフェッショナルやら、そしてアーティストなんかが集まったいきさつでのコミュニケーションや会合の姿はそれ自体テーマになりうるんじゃないの?.Yさん
(2)陸上の植物の変化は皆見ているけど、海中の変化を皆意識していない.Nさん、Wさん、Iさん
(3)一本のロープが船上から見て不可視の世界を繋ぐただひとつのものに見えて.Sさん
(4)ダイバーの目線だから絵に上下がない?.Iさん
(5)何万年というような時間に関わるデータを扱おうとしている.Iさん
(6)オオモンハタのサイズ.Jさん、Wさん
(7)コッペパンのペとパについて.Tさん
(8)植物と鉱物の研究者が同席する機会があって、新しい気付きがあり.Iさん
(9)水中の姿は自立していて形も色も違って、虹色だったりもする。.Iさん
(10)Googleのプラットフォームで論文を探せますよ.Nさん

※フレーズは、主に期間中のメンバーとの会話から。


SIOME 東京藝術大学×香川大学 せとうち ART&SCIENCE:
アートとサイエンスの力で人々の心を豊かにし、社会の未来をかたちづくる。 東京藝術大学と香川大学は、創造力と分析力を融合させることで、複雑な社会課題に新たな視点からアプローチし、心豊かで持続可能な社会の実現を目指しています。 芸術と科学の出会いから生まれる知と感性の共創によって、瀬戸内海から未来を動かします。

アーティスト/プロジェクト

中山開

1980 茨城県生まれ
2006 東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
2008 東京芸術大学大学院美術研究科修士課程油画専攻修了

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過去の展示作品を アーカイブとして まとめています。

   

芸術未来研究場は、人が生きる力であるアートを根幹に据え、人類と地球のあるべき姿を探求するための組織として2023年4月に創設されました。閉じた施設としての「研究所」ではなく、様々なプレイヤーが集い、つながり、社会に開かれたアートを実践し、未来を共につくっていく場だから「研究場」と名付けています。
 
東京藝術大学は、伝統の継承と新しい表現の創造のための教育研究機関であると同時に、アートの未来を常に考え、様々なステークホルダーと共に社会を形づくる主体でもあります。アートの礎である「いまここにないものをイメージする力」は、世界を変え、未来をつくる力です。これまでにも、学部、学科、研究室単位では様々な学外の組織との協働がありましたが、今後は全学横断的にこれを推進していくことで、企業・官公庁・他の教育研究機関との連携を強化し、社会の様々な領域におけるアートの新たな価値や役割を増やしていきます。
 
また、こうした連携を実践する基盤として、芸術未来研究場では次の6つの領域を設定しました。


[ケア・コミュニケーション]

医療、福祉や地域コミュニティをはじめとするWell-beingな社会づくりにおけるアートの社会的価値を探求します。

[アートDX]

デジタル技術やICT技術を活用した教育研究を推進し、アートの可能性を拡げます。

[クリエイティヴアーカイヴ]

多様化する表現手法に対応した、アートの保存・継承と、新たな創造への活用に関する研究を推進します。

[キュレーション]

対話と協働を通してアートと現代社会との関係性を紡ぎ上げる人材の育成と実践研究を行います。

[芸術教育・リベラルアーツ]

東京藝大における教育のあり方を探究しながら、より幅広い対象に芸術教育を拡げ、地域や年齢、社会的属性に関係なく、誰もが自身の人生の中にアートを感じられる社会づくりを推進します。

[アート×ビジネス]

教育研究成果の社会実装・事業化を推進し、芸術産業の創出・発展に寄与します。


これらが互いに領域の枠を超えて混じり合い、芸術と社会の未来を切り拓く新たなプラットフォーム「芸術未来研究場」が、今ここからはじまります。