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特別プロジェクト
「アマモ:海→陸→海」SIOME 東京藝術大学×香川大学 せとうち ART&SCIENCE
大学美術館
科学の調査に同行する中で、アーティストとしてはピュシス(本来の自然)について興味が湧くものの、ロゴス的な調査研究を見ることである種の混乱が起きた。そこで、ピュシスとロゴスの間としてミュトス的(神話、物語)なアウトプットを制作した。
「アマモ」という海草について、海から陸へ進化し、また海に戻った生物という話を研究者の方から聞いて、陸から海→陸へと戻った浦島太郎の逆を連想し、物語のようなものを制作。今年、個人の活動で同行したウミガメのバイオロギング研究(東京大学 大槌研究センター 佐藤研究室)や、潮間帯の生態系についての臨海実習(筑波大学 下田臨海実験センター)に参加したことから、その知識や出会った生物も作品の中に反映されている。
また、今回は海藻・海草についてのプロジェクト&作品ということもあり、海藻由来の素材を取り入れた。さらに、女川での調査同行の様子と波ドローイング(船の上で波の揺れに沿って描いたもの)を卓上に並べて一覧できるようにした。今後も継続的に地球科学分野へ関わっていく予定。
SIOME 東京藝術大学×香川大学 せとうち ART&SCIENCE:
アートとサイエンスの力で人々の心を豊かにし、社会の未来をかたちづくる。 東京藝術大学と香川大学は、創造力と分析力を融合させることで、複雑な社会課題に新たな視点からアプローチし、心豊かで持続可能な社会の実現を目指しています。 芸術と科学の出会いから生まれる知と感性の共創によって、瀬戸内海から未来を動かします。
後藤理菜
2000年宮城県生まれ。東京藝術大学先端芸術表現科修士課程在籍。東日本大震災で実家が全壊した経験や、東北を旅・生活する中で、自然から感じる“ヌミノーゼ”に興味を持ち、フールドワークから絵画作品を制作。また、積極的に地球科学分野の研究に同行し、2024年には地球海洋調査船みらいに乗船し北太平洋を渡った。
MORE WORKS
ARCHIVE
過去の展示作品を アーカイブとして まとめています。

芸術未来研究場は、人が生きる力であるアートを根幹に据え、人類と地球のあるべき姿を探求するための組織として2023年4月に創設されました。閉じた施設としての「研究所」ではなく、様々なプレイヤーが集い、つながり、社会に開かれたアートを実践し、未来を共につくっていく場だから「研究場」と名付けています。
東京藝術大学は、伝統の継承と新しい表現の創造のための教育研究機関であると同時に、アートの未来を常に考え、様々なステークホルダーと共に社会を形づくる主体でもあります。アートの礎である「いまここにないものをイメージする力」は、世界を変え、未来をつくる力です。これまでにも、学部、学科、研究室単位では様々な学外の組織との協働がありましたが、今後は全学横断的にこれを推進していくことで、企業・官公庁・他の教育研究機関との連携を強化し、社会の様々な領域におけるアートの新たな価値や役割を増やしていきます。
また、こうした連携を実践する基盤として、芸術未来研究場では次の6つの領域を設定しました。
[ケア・コミュニケーション]
医療、福祉や地域コミュニティをはじめとするWell-beingな社会づくりにおけるアートの社会的価値を探求します。
[アートDX]
デジタル技術やICT技術を活用した教育研究を推進し、アートの可能性を拡げます。
[クリエイティヴアーカイヴ]
多様化する表現手法に対応した、アートの保存・継承と、新たな創造への活用に関する研究を推進します。
[キュレーション]
対話と協働を通してアートと現代社会との関係性を紡ぎ上げる人材の育成と実践研究を行います。
[芸術教育・リベラルアーツ]
東京藝大における教育のあり方を探究しながら、より幅広い対象に芸術教育を拡げ、地域や年齢、社会的属性に関係なく、誰もが自身の人生の中にアートを感じられる社会づくりを推進します。
[アート×ビジネス]
教育研究成果の社会実装・事業化を推進し、芸術産業の創出・発展に寄与します。
これらが互いに領域の枠を超えて混じり合い、芸術と社会の未来を切り拓く新たなプラットフォーム「芸術未来研究場」が、今ここからはじまります。







