2025
EXHIBITION ARCHIVE EXHIBITION ARCHIVE
  • 特別プロジェクト
  • I LOVE YOUプロジェクト

ぬう、つながる、ひらく〜アート×手仕事を通して若年女性受刑者の福祉を考える~

大学美術館

若年女子受刑者のことを考えたことはありますか?私自身も、このプロジェクトに関わるまで意識することはほとんどありませんでした。壁の向こうにいるその存在は社会の目から見えにくく、置き去りにされがちです。彼女たちの中には、DVなど困難な環境が原因で罪を犯してしまった人が多くいます。また、出所後も、一度つまずいた彼女たちに社会は優しくありません。
本展示の布作品を制作したのは、山口県美祢社会復帰促進センターの若い女性受刑者(センター生)たちです。古い着物地やアパレル廃材の中から、自分で素材を選び、世界に1つの作品を縫い上げました。みとびらによる教育プロジェクトの下、彼女たちは、ものづくりを通して自分を見つめ、立ち直る力を育もうとしています。そして個性豊かな魚が連なるレイは、美祢で縫われた”おさかなチャーム”のベースを受け取った千住仲町の家でのワークショップ参加者が、遠く離れた受刑者の存在を想像し、手仕事を通した「対話」をしながら完成させたものです。
誰もが安心して生きられる世界とは――この展示が、その問いを共に考えるきっかけになれば幸いです。 
 
I LOVE YOU採択企画:ぬう、つながる、ひらく〜アート×手仕事を通して若年女性受刑者の福祉を考える~ 
テーマ「マイノリティの活躍促進」(ゴールドマン・サックス・ギブズからの支援による取組) 
アートを通じたWell-beingの向上を実証すると同時に、アート業界におけるマイノリティのひとびとの活躍の場を広める 

アーティスト/プロジェクト

松尾 優子、みとびらプロジェクト

松尾優子 東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科学部3年 熊倉研究室(アートプロデュース)所属。1DAYパフォーマンス表現街やみとびらでの活動を通して、アートを媒介に社会と人を繋ぐ試みに携わる。
みとびら 東京藝術大学DOORを発端に手仕事を通じて若年女子受刑者の立ち直り支援を行う産官学連携プロジェクト

MORE WORKS

ARCHIVE

過去の展示作品を アーカイブとして まとめています。

   

芸術未来研究場は、人が生きる力であるアートを根幹に据え、人類と地球のあるべき姿を探求するための組織として2023年4月に創設されました。閉じた施設としての「研究所」ではなく、様々なプレイヤーが集い、つながり、社会に開かれたアートを実践し、未来を共につくっていく場だから「研究場」と名付けています。
 
東京藝術大学は、伝統の継承と新しい表現の創造のための教育研究機関であると同時に、アートの未来を常に考え、様々なステークホルダーと共に社会を形づくる主体でもあります。アートの礎である「いまここにないものをイメージする力」は、世界を変え、未来をつくる力です。これまでにも、学部、学科、研究室単位では様々な学外の組織との協働がありましたが、今後は全学横断的にこれを推進していくことで、企業・官公庁・他の教育研究機関との連携を強化し、社会の様々な領域におけるアートの新たな価値や役割を増やしていきます。
 
また、こうした連携を実践する基盤として、芸術未来研究場では次の6つの領域を設定しました。


[ケア・コミュニケーション]

医療、福祉や地域コミュニティをはじめとするWell-beingな社会づくりにおけるアートの社会的価値を探求します。

[アートDX]

デジタル技術やICT技術を活用した教育研究を推進し、アートの可能性を拡げます。

[クリエイティヴアーカイヴ]

多様化する表現手法に対応した、アートの保存・継承と、新たな創造への活用に関する研究を推進します。

[キュレーション]

対話と協働を通してアートと現代社会との関係性を紡ぎ上げる人材の育成と実践研究を行います。

[芸術教育・リベラルアーツ]

東京藝大における教育のあり方を探究しながら、より幅広い対象に芸術教育を拡げ、地域や年齢、社会的属性に関係なく、誰もが自身の人生の中にアートを感じられる社会づくりを推進します。

[アート×ビジネス]

教育研究成果の社会実装・事業化を推進し、芸術産業の創出・発展に寄与します。


これらが互いに領域の枠を超えて混じり合い、芸術と社会の未来を切り拓く新たなプラットフォーム「芸術未来研究場」が、今ここからはじまります。