2024
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photo:Naoto Kozuka

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photo:Miki Shinobu

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  • ケア・コミュニケーション

Jam Dipper

《Jam Dipper 》はハニーディッパーのようなカトラリーにも似た、美術作品として構想しています。ハニーディッパーのようなヘッドを持ち、そこに溝や不定形な形を与えることで《Jam Dipper 》に独自性が与えらています。これを舌で舐めることで鑑賞する作品です。
口に含む作品の制作と、舌の触覚と知覚との関連から生じる可能性を探るには医学的知見が有効です。そこで東京科学大学医歯学研究科博士課程で歯科医師の三宅理沙さんの協力を仰いでいます。医学において舌に関するトピックは豊富であり、たとえば脳外科医のWilder Graves Penfield が考案した大脳の運動野と感覚野のホムンクルス――これは身体の各部位が大脳で占める比率と位置を人体に置き換え直したイメージで知られてい
ますが、このイメージの中でも舌はかなり大きく描写されている部位です(Wilder P et al., Brain, 1937)。これは舌の持つ感覚器官としての豊かさを示しています。《Jam-Dipper 》の可能性を具体化するためにも、舌と心身との関係を調査しています。文化的処方への視点もそこから得られるはずです。


荒川弘憲

東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程在籍。
身体感覚とメディア環境のアレンジとして制作をしている。これまでに映像と鑑賞者の身体とのインタラクションが生じる映像インスタレーションを発表。こうしたイメージを生産する身体の問題意識を引き継ぎ、舐めて鑑賞する立体作品を医学系の研究者とともに制作している。 

協力:東京科学大学医歯学研究科博士課程・歯科医師 三宅理沙 
 
助成:東京藝大「I LOVE YOU」プロジェクト

ARCHIVE

過去の展示作品を アーカイブとして まとめています。

   

芸術未来研究場は、人が生きる力であるアートを根幹に据え、人類と地球のあるべき姿を探求するための組織として2023年4月に創設されました。閉じた施設としての「研究所」ではなく、様々なプレイヤーが集い、つながり、社会に開かれたアートを実践し、未来を共につくっていく場だから「研究場」と名付けています。
 
東京藝術大学は、伝統の継承と新しい表現の創造のための教育研究機関であると同時に、アートの未来を常に考え、様々なステークホルダーと共に社会を形づくる主体でもあります。アートの礎である「いまここにないものをイメージする力」は、世界を変え、未来をつくる力です。これまでにも、学部、学科、研究室単位では様々な学外の組織との協働がありましたが、今後は全学横断的にこれを推進していくことで、企業・官公庁・他の教育研究機関との連携を強化し、社会の様々な領域におけるアートの新たな価値や役割を増やしていきます。
 
また、こうした連携を実践する基盤として、芸術未来研究場では次の6つの領域を設定しました。


[ケア・コミュニケーション]

医療、福祉や地域コミュニティをはじめとするWell-beingな社会づくりにおけるアートの社会的価値を探求します。

[アートDX]

デジタル技術やICT技術を活用した教育研究を推進し、アートの可能性を拡げます。

[クリエイティヴアーカイヴ]

多様化する表現手法に対応した、アートの保存・継承と、新たな創造への活用に関する研究を推進します。

[キュレーション]

対話と協働を通してアートと現代社会との関係性を紡ぎ上げる人材の育成と実践研究を行います。

[芸術教育・リベラルアーツ]

東京藝大における教育のあり方を探究しながら、より幅広い対象に芸術教育を拡げ、地域や年齢、社会的属性に関係なく、誰もが自身の人生の中にアートを感じられる社会づくりを推進します。

[アート×ビジネス]

教育研究成果の社会実装・事業化を推進し、芸術産業の創出・発展に寄与します。


これらが互いに領域の枠を超えて混じり合い、芸術と社会の未来を切り拓く新たなプラットフォーム「芸術未来研究場」が、今ここからはじまります。