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ケア・コミュニケーション
のぼる
「のぼる」プロジェクトは、ソフトなケア、精神面のケアについて、3人の異なる境遇に置かれたアーティストのクロエ・パレとキュレーターのアリウェンと平河伴菜が一つのナラティブを構成する企画です。3人は、これまで生きてきた環境や経験、ジェンダー観などの多くの面で違いはありますが、そうした違いを超えて、「互いを支え合うとはどういうことなのか」、「ケアとは何か」について共に考え、試行錯誤してきました。こうした疑問は、生活のあらゆる面において日々互いをサポートしあう中から生まれた素朴な疑問です。他方で、多くの方々が家族や友人、会社や地域といった様々な人々や環境で支え合い、コミュニュケーションを取り合うなかで一度は浮かんだことのある疑問なのではないでしょうか。本プロジェクトで展開されるナラティブは、登場人物各々の実体験に基づいていますが、そうした個人的な語りの一端から、他者との関わりから生まれるケアのあり方などについてぜひ思索していただきたいと考えます。本企画をご覧になった方々の頭に、身の回りの人とのケアの体験について思い浮かべていただければ幸いです。
クロエ・パレ、平河伴菜、アリウェン
のぼるは、身体知(身体や感覚により得られた経験・知識)について実践活動を通じて研究するグループです。メンバーは、キュレーターのアリウェンと平河伴菜、ヴィジュアルアーティストのクロエ・パレです。現在は特に感覚民族誌学、新しい唯物論的フェミニズム、クィア・エコロジーに関心を持ち活動しています。協働プロジェクトを通じて、それぞれの研究成果や私的な経験を共有し、新たなかたちで表現します。
助成:東京藝大「I LOVE YOU」プロジェクト
ARCHIVE
過去の展示作品を アーカイブとして まとめています。


芸術未来研究場は、人が生きる力であるアートを根幹に据え、人類と地球のあるべき姿を探求するための組織として2023年4月に創設されました。閉じた施設としての「研究所」ではなく、様々なプレイヤーが集い、つながり、社会に開かれたアートを実践し、未来を共につくっていく場だから「研究場」と名付けています。
東京藝術大学は、伝統の継承と新しい表現の創造のための教育研究機関であると同時に、アートの未来を常に考え、様々なステークホルダーと共に社会を形づくる主体でもあります。アートの礎である「いまここにないものをイメージする力」は、世界を変え、未来をつくる力です。これまでにも、学部、学科、研究室単位では様々な学外の組織との協働がありましたが、今後は全学横断的にこれを推進していくことで、企業・官公庁・他の教育研究機関との連携を強化し、社会の様々な領域におけるアートの新たな価値や役割を増やしていきます。
また、こうした連携を実践する基盤として、芸術未来研究場では次の6つの領域を設定しました。
[ケア・コミュニケーション]
医療、福祉や地域コミュニティをはじめとするWell-beingな社会づくりにおけるアートの社会的価値を探求します。
[アートDX]
デジタル技術やICT技術を活用した教育研究を推進し、アートの可能性を拡げます。
[クリエイティヴアーカイヴ]
多様化する表現手法に対応した、アートの保存・継承と、新たな創造への活用に関する研究を推進します。
[キュレーション]
対話と協働を通してアートと現代社会との関係性を紡ぎ上げる人材の育成と実践研究を行います。
[芸術教育・リベラルアーツ]
東京藝大における教育のあり方を探究しながら、より幅広い対象に芸術教育を拡げ、地域や年齢、社会的属性に関係なく、誰もが自身の人生の中にアートを感じられる社会づくりを推進します。
[アート×ビジネス]
教育研究成果の社会実装・事業化を推進し、芸術産業の創出・発展に寄与します。
これらが互いに領域の枠を超えて混じり合い、芸術と社会の未来を切り拓く新たなプラットフォーム「芸術未来研究場」が、今ここからはじまります。