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アートDX
まどをもってうごく / Windowing
めまぐるしく移り変わる情報化社会の中で、私たちの目にうつるもの、感じるものは、様々な媒体と技術を通じて絶え間なく変容しています。その変容の中で、新たな感受性や価値観などが育くまれるだけでなく、私たちの知覚や感覚をもまた、拡張されていきます。それは、かつて確固としたものと考えられていた「現実」の見え方すらも、揺らぎ、多様化していることを示しています。 「まどをもってうごく/Windowing」は人物や横浜市電による電子的イメージをモチーフに、記憶や経験、知覚と想像に結びついた、現実と呼ばれるものの「記録」とその「表現」の可能/不可能性を探求します。 100年に及ぶ歴史を持つ横浜市電500型車両は、その車内にさまざまな痕跡や時間の蓄積が多重露光されたかのような、人々の記憶、経験、知覚を映し出す存在として捉えることができます。横浜市電500型の車内を高精細に3Dスキャンした電子的イメージ、そして私たちにとって根源的な対象である人物の、4Dスキャンイメージによる双方の隣接を手がかりに、それぞれの今日的な記録と表現を用いた拡張的映像を展開します。
桒原寿行
2011年 東京藝術大学美術研究科絵画科油画 修了、2013年 IAMAS メディア表現研究科 修了。東京藝術大学特任講師。事実性や現実感、知覚、心理、情動への影響を及ぼす視覚体験を成立させているものを対象としながら、みる/みえることの潜在的な可能性と問いについて、研究と作品制作の両面で活動を続ける。
助成:東京藝大「I LOVE YOU」プロジェクト
本作品はJSPS科研費21K00189の研究成果の一部である。
ARCHIVE
過去の展示作品を アーカイブとして まとめています。


芸術未来研究場は、人が生きる力であるアートを根幹に据え、人類と地球のあるべき姿を探求するための組織として2023年4月に創設されました。閉じた施設としての「研究所」ではなく、様々なプレイヤーが集い、つながり、社会に開かれたアートを実践し、未来を共につくっていく場だから「研究場」と名付けています。
東京藝術大学は、伝統の継承と新しい表現の創造のための教育研究機関であると同時に、アートの未来を常に考え、様々なステークホルダーと共に社会を形づくる主体でもあります。アートの礎である「いまここにないものをイメージする力」は、世界を変え、未来をつくる力です。これまでにも、学部、学科、研究室単位では様々な学外の組織との協働がありましたが、今後は全学横断的にこれを推進していくことで、企業・官公庁・他の教育研究機関との連携を強化し、社会の様々な領域におけるアートの新たな価値や役割を増やしていきます。
また、こうした連携を実践する基盤として、芸術未来研究場では次の6つの領域を設定しました。
[ケア・コミュニケーション]
医療、福祉や地域コミュニティをはじめとするWell-beingな社会づくりにおけるアートの社会的価値を探求します。
[アートDX]
デジタル技術やICT技術を活用した教育研究を推進し、アートの可能性を拡げます。
[クリエイティヴアーカイヴ]
多様化する表現手法に対応した、アートの保存・継承と、新たな創造への活用に関する研究を推進します。
[キュレーション]
対話と協働を通してアートと現代社会との関係性を紡ぎ上げる人材の育成と実践研究を行います。
[芸術教育・リベラルアーツ]
東京藝大における教育のあり方を探究しながら、より幅広い対象に芸術教育を拡げ、地域や年齢、社会的属性に関係なく、誰もが自身の人生の中にアートを感じられる社会づくりを推進します。
[アート×ビジネス]
教育研究成果の社会実装・事業化を推進し、芸術産業の創出・発展に寄与します。
これらが互いに領域の枠を超えて混じり合い、芸術と社会の未来を切り拓く新たなプラットフォーム「芸術未来研究場」が、今ここからはじまります。