2025
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Roots Trip in Ghana

大学美術館

本企画は、日本社会の中で「マイノリティ」であることを経験してきたアーティスト・なみちえが、父方のルーツである西アフリカ・ガーナを訪れ、言語・音楽・リズム・身体文化に触れながら、日本語・英語・ガーナ語(twi語)を横断して、自身の声と身体を「都市と民族」「先進国と周縁」「言語と音楽」といった複層的な軸で解体・再構築するプロジェクトである。

アフリカンプリントやケンテ布を素材としたミックスメディアの衣装、現地ミュージシャンとの共創によるEP(シングル盤より長く、フルアルバムより短い音楽形式)では、日本語・英語・ガーナ語を織り交ぜたリリックを用いて、「越境する声」としてのラップを提示する。また、ガーナの風景と自身の身体を融合させたMV(ミュージックビデオ)作品を通して、「根源と未来」が共存するアートのあり方を模索する。

なみちえ自身、日本社会において人種差別やレイシャルプロファイリングを受けてきた経験を持ち、その身体は常に日本とアフリカの文化的・構造的ギャップを媒介してきた。今回の制作は、そうした経験を単なる被害性として語るのではなく、創造性の源泉として変換し、音・布・身体・言語を通じて新たな都市的ウェルビーイングの形を提示する挑戦である。最終的には、展示・ライブ・記録映像を交えた多層的なアウトプットによって、日本における「ミックス」アイデンティティの現在地を再定義し、日本とアフリカをつなぐ自身の身体の可能性を芸術として提案する。 

I LOVE YOU採択企画:ROOTS TRIP : 横断する声、身体、記憶 
テーマ「マイノリティの活躍促進」(ゴールドマン・サックス・ギブズからの支援による取組) 
アートを通じたWell-beingの向上を実証すると同時に、アート業界におけるマイノリティのひとびとの活躍の場を広める 

アーティスト/プロジェクト

なみちえ

MORE WORKS

ARCHIVE

過去の展示作品を アーカイブとして まとめています。

   

芸術未来研究場は、人が生きる力であるアートを根幹に据え、人類と地球のあるべき姿を探求するための組織として2023年4月に創設されました。閉じた施設としての「研究所」ではなく、様々なプレイヤーが集い、つながり、社会に開かれたアートを実践し、未来を共につくっていく場だから「研究場」と名付けています。
 
東京藝術大学は、伝統の継承と新しい表現の創造のための教育研究機関であると同時に、アートの未来を常に考え、様々なステークホルダーと共に社会を形づくる主体でもあります。アートの礎である「いまここにないものをイメージする力」は、世界を変え、未来をつくる力です。これまでにも、学部、学科、研究室単位では様々な学外の組織との協働がありましたが、今後は全学横断的にこれを推進していくことで、企業・官公庁・他の教育研究機関との連携を強化し、社会の様々な領域におけるアートの新たな価値や役割を増やしていきます。
 
また、こうした連携を実践する基盤として、芸術未来研究場では次の6つの領域を設定しました。


[ケア・コミュニケーション]

医療、福祉や地域コミュニティをはじめとするWell-beingな社会づくりにおけるアートの社会的価値を探求します。

[アートDX]

デジタル技術やICT技術を活用した教育研究を推進し、アートの可能性を拡げます。

[クリエイティヴアーカイヴ]

多様化する表現手法に対応した、アートの保存・継承と、新たな創造への活用に関する研究を推進します。

[キュレーション]

対話と協働を通してアートと現代社会との関係性を紡ぎ上げる人材の育成と実践研究を行います。

[芸術教育・リベラルアーツ]

東京藝大における教育のあり方を探究しながら、より幅広い対象に芸術教育を拡げ、地域や年齢、社会的属性に関係なく、誰もが自身の人生の中にアートを感じられる社会づくりを推進します。

[アート×ビジネス]

教育研究成果の社会実装・事業化を推進し、芸術産業の創出・発展に寄与します。


これらが互いに領域の枠を超えて混じり合い、芸術と社会の未来を切り拓く新たなプラットフォーム「芸術未来研究場」が、今ここからはじまります。