2025
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AI作曲 × λ (社会参画)/在宅医療×AI作曲―心の洗濯―

大学美術館

「音楽は、日常生活のほこりを魂から洗い流す。」
― 作家ベルトルト・アウエルバッハ(『Auf der Höhe』1864年)

日本では毎月約2.5万人が終末期を迎え、要介護者を支える家族は350万人以上に上る。特に在宅医療や緩和医療の現場では、終末期の患者や介護者が病状の心理的受容が追いつかないまま、悩みを打ち明けられず孤立するケースも少なくない。こうした極限的な状況では、自身の内面を多様なかたちで表現することが、当事者や介護者のケアになる可能性があり、当事者・医療従事者からの高い関心が寄せられている。本企画は、クライアントが語る「人生の物語」をもとに、生成AI・作曲家・家族との対話を通じて世界に一つのピアノ三重奏曲を共創し、生演奏で届ける心のケアプログラムを開発する。音楽生成AI「Udio」により旋律や和音の候補を即時生成でき、短時間で高品質な楽曲制作が可能となるため、クライアントがより納得感をもって音楽づくりに関われると期待されている。 
 
I LOVE YOU採択企画:在宅医療×AI作曲―心の洗濯―  
テーマ「アート× エンターテインメント/ AI」(株式会社サイバーエージェントとの連携枠) 
ビジネスとしても成立する新しい価値をアート・芸術の力で創造していくことに挑戦する

アーティスト/プロジェクト

企画:杉浦 瑛優(音楽研究科作曲専攻修了) ピアノ:兒玉 末(こだまクリニック医師) 構成:三宮 柾名 音響:村瀬 一哉 実施協力:大島 空代、水口 透槙

杉浦 瑛優:東京藝術大学音楽学部作曲科および同大学院作曲専攻を修了。宮田亮平奨学金、安宅賞、第41回現音作曲新人賞入選・聴衆賞。クマ財団8期奨学生。オーケストラ編成を含む作品群の一部は、藝大フィルハーモニア管弦楽団などにより初演されている。NHKラジオ「まんまる」出演、NHKのど自慢大会大和市本選出場、不合格。

MORE WORKS

ARCHIVE

過去の展示作品を アーカイブとして まとめています。

   

芸術未来研究場は、人が生きる力であるアートを根幹に据え、人類と地球のあるべき姿を探求するための組織として2023年4月に創設されました。閉じた施設としての「研究所」ではなく、様々なプレイヤーが集い、つながり、社会に開かれたアートを実践し、未来を共につくっていく場だから「研究場」と名付けています。
 
東京藝術大学は、伝統の継承と新しい表現の創造のための教育研究機関であると同時に、アートの未来を常に考え、様々なステークホルダーと共に社会を形づくる主体でもあります。アートの礎である「いまここにないものをイメージする力」は、世界を変え、未来をつくる力です。これまでにも、学部、学科、研究室単位では様々な学外の組織との協働がありましたが、今後は全学横断的にこれを推進していくことで、企業・官公庁・他の教育研究機関との連携を強化し、社会の様々な領域におけるアートの新たな価値や役割を増やしていきます。
 
また、こうした連携を実践する基盤として、芸術未来研究場では次の6つの領域を設定しました。


[ケア・コミュニケーション]

医療、福祉や地域コミュニティをはじめとするWell-beingな社会づくりにおけるアートの社会的価値を探求します。

[アートDX]

デジタル技術やICT技術を活用した教育研究を推進し、アートの可能性を拡げます。

[クリエイティヴアーカイヴ]

多様化する表現手法に対応した、アートの保存・継承と、新たな創造への活用に関する研究を推進します。

[キュレーション]

対話と協働を通してアートと現代社会との関係性を紡ぎ上げる人材の育成と実践研究を行います。

[芸術教育・リベラルアーツ]

東京藝大における教育のあり方を探究しながら、より幅広い対象に芸術教育を拡げ、地域や年齢、社会的属性に関係なく、誰もが自身の人生の中にアートを感じられる社会づくりを推進します。

[アート×ビジネス]

教育研究成果の社会実装・事業化を推進し、芸術産業の創出・発展に寄与します。


これらが互いに領域の枠を超えて混じり合い、芸術と社会の未来を切り拓く新たなプラットフォーム「芸術未来研究場」が、今ここからはじまります。