2025
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  • ケア&コミュニケーション
  • I LOVE YOUプロジェクト

《Jam Dipper》で舌でみる、心にふれる

大学美術館

今年の本プロジェクトでは味覚ではなく、舌の触覚で鑑賞する小さなオブジェ《Jam Dipper》を将来的に「文化的処方」として活用するため、制作と試験的な鑑賞会を行っています。
昨年度に2体のプロトタイプの《Jam Dipper》を制作し、「科学と芸術の丘」や「芸術未来研究場展」等で発表を行ないました。そこでの作品を通じた対話や論文サーベイから文化的処方としての本企画の方針を探ってきました。
本プロジェクトでは視覚 - 触覚のズレや掛け合わせがもたらす感覚や、舌の触覚を用いて触れることそれによって生まれるイメージに注目した鑑賞体験によって、鑑賞者の自己の感覚や心とのつながりがどのように見出されうるのかに照準を合わせたいと考えています。そのうえで上半期では漆の塗装を施した衛生性と触知性を高めた《Jam Dipper》を開発してきました。舌による触覚鑑賞をするために、安全性に配慮した鑑賞システムを検討し、《Jam Dipper》を用いた試験的鑑賞を行っていきます。鑑賞者にはインタビューを行い、それをもとに《Jam Dipper》の魅力と可能性を考察を行います。 
 
I LOVE YOU採択企画:《Jam Dipper》で舌でみる、心にふれる
ケア&コミュニケーション領域

アーティスト/プロジェクト

荒川弘憲

東京藝術大学美術研究科先端芸術表現領域博士後期課程2年
味覚ではなく、舌の触覚で鑑賞する小さなオブジェ《Jam Dipper》を作成しています。これまで映像と身体感覚が融合する表現に関心を持ってきました。身体の内側から生まれる知覚や情動がからまるイメージや空間を探求するために、舌を入り口にしています。

MORE WORKS

ARCHIVE

過去の展示作品を アーカイブとして まとめています。

   

芸術未来研究場は、人が生きる力であるアートを根幹に据え、人類と地球のあるべき姿を探求するための組織として2023年4月に創設されました。閉じた施設としての「研究所」ではなく、様々なプレイヤーが集い、つながり、社会に開かれたアートを実践し、未来を共につくっていく場だから「研究場」と名付けています。
 
東京藝術大学は、伝統の継承と新しい表現の創造のための教育研究機関であると同時に、アートの未来を常に考え、様々なステークホルダーと共に社会を形づくる主体でもあります。アートの礎である「いまここにないものをイメージする力」は、世界を変え、未来をつくる力です。これまでにも、学部、学科、研究室単位では様々な学外の組織との協働がありましたが、今後は全学横断的にこれを推進していくことで、企業・官公庁・他の教育研究機関との連携を強化し、社会の様々な領域におけるアートの新たな価値や役割を増やしていきます。
 
また、こうした連携を実践する基盤として、芸術未来研究場では次の6つの領域を設定しました。


[ケア・コミュニケーション]

医療、福祉や地域コミュニティをはじめとするWell-beingな社会づくりにおけるアートの社会的価値を探求します。

[アートDX]

デジタル技術やICT技術を活用した教育研究を推進し、アートの可能性を拡げます。

[クリエイティヴアーカイヴ]

多様化する表現手法に対応した、アートの保存・継承と、新たな創造への活用に関する研究を推進します。

[キュレーション]

対話と協働を通してアートと現代社会との関係性を紡ぎ上げる人材の育成と実践研究を行います。

[芸術教育・リベラルアーツ]

東京藝大における教育のあり方を探究しながら、より幅広い対象に芸術教育を拡げ、地域や年齢、社会的属性に関係なく、誰もが自身の人生の中にアートを感じられる社会づくりを推進します。

[アート×ビジネス]

教育研究成果の社会実装・事業化を推進し、芸術産業の創出・発展に寄与します。


これらが互いに領域の枠を超えて混じり合い、芸術と社会の未来を切り拓く新たなプラットフォーム「芸術未来研究場」が、今ここからはじまります。