2025
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  • 特別プロジェクト

瀬戸内国際芸術祭2025 公式トークイベント 「SIOMEが変わる時」ー境界にあらわれるモノの意味と、消滅可能性自治体のこれから(SIOME 東京藝術大学×香川大学 せとうち ART&SCIENCE)

大学美術館

ー科学と芸術が出会う「潮目」としての瀬戸内海ー
2025年8月16日、東かがわ市引田の笠屋邸(KASAYAソーシャル)にて、科学者・中國正寿と美術家・間瀬朋成によるトークと展示が行われました。両者は瀬戸内海に生まれる「潮目」を手がかりに、科学と芸術、そして地域の未来について対話を重ねています。19世紀以前には科学とアートの境界は存在せず、ルネサンスマンに象徴されるような領域横断的探究こそ本来の知の姿だったといいます。
潮目とは、異なる水塊が接する海の境界であり、流れ藻やプランクトン、稚魚だけでなく、プラスチック片や漁具などの海ごみ、人間の痕跡が集まる場です。本プロジェクトではこれを、瀬戸内海という閉ざされた海で自然の流れと人間の活動がぶつかり合い、その痕跡が集積する境界として捉え直します。
調査船での共同観測を通じて採集された漂流物は、間瀬氏の制作へとつながっています。海がつくる寄せ集め(アッサンブラージュ)を氷に封じる行為は、科学が求める普遍性とアートが立ち上げる固有性のあいだに生じる重なりを可視化する試みです。
かつて風待ちの港として栄えた引田を「記憶と未来が交わる潮目」と見立て、科学と芸術の協働が地域文化を照らし出す可能性を示しています。

アーティスト/プロジェクト

科学者 中國正寿 × 美術家 間瀬朋成

瀬戸内海を舞台に、アートと海洋科学を横断する協働プロジェクトを展開。潮目・記憶・環境を軸に、人間中心主義を問い直しながら、作品制作、調査研究、教育・企画を通じて新たな知のかたちを探っている。

MORE WORKS

ARCHIVE

過去の展示作品を アーカイブとして まとめています。

   

芸術未来研究場は、人が生きる力であるアートを根幹に据え、人類と地球のあるべき姿を探求するための組織として2023年4月に創設されました。閉じた施設としての「研究所」ではなく、様々なプレイヤーが集い、つながり、社会に開かれたアートを実践し、未来を共につくっていく場だから「研究場」と名付けています。
 
東京藝術大学は、伝統の継承と新しい表現の創造のための教育研究機関であると同時に、アートの未来を常に考え、様々なステークホルダーと共に社会を形づくる主体でもあります。アートの礎である「いまここにないものをイメージする力」は、世界を変え、未来をつくる力です。これまでにも、学部、学科、研究室単位では様々な学外の組織との協働がありましたが、今後は全学横断的にこれを推進していくことで、企業・官公庁・他の教育研究機関との連携を強化し、社会の様々な領域におけるアートの新たな価値や役割を増やしていきます。
 
また、こうした連携を実践する基盤として、芸術未来研究場では次の6つの領域を設定しました。


[ケア・コミュニケーション]

医療、福祉や地域コミュニティをはじめとするWell-beingな社会づくりにおけるアートの社会的価値を探求します。

[アートDX]

デジタル技術やICT技術を活用した教育研究を推進し、アートの可能性を拡げます。

[クリエイティヴアーカイヴ]

多様化する表現手法に対応した、アートの保存・継承と、新たな創造への活用に関する研究を推進します。

[キュレーション]

対話と協働を通してアートと現代社会との関係性を紡ぎ上げる人材の育成と実践研究を行います。

[芸術教育・リベラルアーツ]

東京藝大における教育のあり方を探究しながら、より幅広い対象に芸術教育を拡げ、地域や年齢、社会的属性に関係なく、誰もが自身の人生の中にアートを感じられる社会づくりを推進します。

[アート×ビジネス]

教育研究成果の社会実装・事業化を推進し、芸術産業の創出・発展に寄与します。


これらが互いに領域の枠を超えて混じり合い、芸術と社会の未来を切り拓く新たなプラットフォーム「芸術未来研究場」が、今ここからはじまります。