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特別プロジェクト
Patch Work
本部棟1F
本作品は、廃材を用いて組み立てるという集団的行為を通して、素材の持続性を肯定するプロセスである。廃材や再生木材を用いた大型構造物のプロトタイプとして、修復方法を構造的側面と価値提案の両面から考察し、「私たちの周辺環境を構築するために使用された素材を大切にすることで、本来は廃棄物とみなされる物の価値をどのように転換できるだろうか?」という問いかけをしている。
構造物はデジタルと手作業でデザインされ、廃材の準備と組み立ては機械と手作業の仕上げによる。パッチワーク手法を幅広いコミュニティに浸透させるため、プロセスを体系化し共有するためのマニュアルも作られた。このプロジェクトは、素材が文化的にどのように認識されているかだけでなく、より繋がりのある持続可能な未来に向けて取り組むために、建築を集団的な実践としてどのように捉えるべきかを探求している。
記録映像は、2025年6月にNEW INCのアニュアルイベントDEMO DAYのために制作された制作過程を映したもので、作品はブルックリンで1日にかけて行われたワークショップを通し、複数の参加者によって組み立てられた。
協力:NEWINC、三菱地所
エマ・ユーチェンスキー/Emma Jurczinsky(NEW INC)
エマ・ユーチェンスキー
英国系カナダ人デザイナー兼研究者。現在はニューヨークを拠点に活動。
実験的で遊び心のあるデザイン手法を用い、使用済み建築資材を再利用してそれらに再び目的を与えることを作品としている。デジタルとアナログのツールを組み合わせる実践は、廃棄物を変容させ、廃棄物の価値を再評価し、建築環境におけるその役割を再定義する。プロトタイプと映像を用い、私たちの空間を形成する素材が持つ物理的、社会的、文化的な意味合いを探求している。
近年はIKEAと協働し、自然との関係性を再構築する目的で、寸法材を用いたシェルターの設計・建設を手がけ、プロジェクトは『Fast Company』や『The Wall Street Journal』で特集されている。
EMMA JURCZYNSKI
Emma Jurczynski is a British-Canadian designer and researcher from London, currently based in New York City. Her work applies experimental and playful design methods to repurpose used construction materials. Combining digital and analog tools, Emma’s practice transforms discarded matter to revalue waste and redefine its role in the built environment. She uses prototypes and film to investigate the physical, social, and cultural implications of the materials that shape our spaces.
Emma recently collaborated with IKEA to design and build a shelter from dimensional timber to reconfigure our relationship with nature. Her projects have been featured in Fast Company and The Wall Street Journal. She holds a BSc from The Bartlett School of Architecture and a MArch from MIT. Emma has worked in design studios across London, Berlin, Mexico City, Boston, and New York City.
MORE WORKS
ARCHIVE
過去の展示作品を アーカイブとして まとめています。

芸術未来研究場は、人が生きる力であるアートを根幹に据え、人類と地球のあるべき姿を探求するための組織として2023年4月に創設されました。閉じた施設としての「研究所」ではなく、様々なプレイヤーが集い、つながり、社会に開かれたアートを実践し、未来を共につくっていく場だから「研究場」と名付けています。
東京藝術大学は、伝統の継承と新しい表現の創造のための教育研究機関であると同時に、アートの未来を常に考え、様々なステークホルダーと共に社会を形づくる主体でもあります。アートの礎である「いまここにないものをイメージする力」は、世界を変え、未来をつくる力です。これまでにも、学部、学科、研究室単位では様々な学外の組織との協働がありましたが、今後は全学横断的にこれを推進していくことで、企業・官公庁・他の教育研究機関との連携を強化し、社会の様々な領域におけるアートの新たな価値や役割を増やしていきます。
また、こうした連携を実践する基盤として、芸術未来研究場では次の6つの領域を設定しました。
[ケア・コミュニケーション]
医療、福祉や地域コミュニティをはじめとするWell-beingな社会づくりにおけるアートの社会的価値を探求します。
[アートDX]
デジタル技術やICT技術を活用した教育研究を推進し、アートの可能性を拡げます。
[クリエイティヴアーカイヴ]
多様化する表現手法に対応した、アートの保存・継承と、新たな創造への活用に関する研究を推進します。
[キュレーション]
対話と協働を通してアートと現代社会との関係性を紡ぎ上げる人材の育成と実践研究を行います。
[芸術教育・リベラルアーツ]
東京藝大における教育のあり方を探究しながら、より幅広い対象に芸術教育を拡げ、地域や年齢、社会的属性に関係なく、誰もが自身の人生の中にアートを感じられる社会づくりを推進します。
[アート×ビジネス]
教育研究成果の社会実装・事業化を推進し、芸術産業の創出・発展に寄与します。
これらが互いに領域の枠を超えて混じり合い、芸術と社会の未来を切り拓く新たなプラットフォーム「芸術未来研究場」が、今ここからはじまります。







